【移住支援制度】国と自治体の補助の種類をやさしく解説
移住支援制度とは
移住支援制度は、地方などへの移住を国や自治体が支援する制度のこと。仕事や暮らし、住居などに関する補助金やサポートが受けられます。
国による「移住支援金」と「起業支援金」
2021年現在、国による移住支援制度には「地方創生移住支援事業」が支援する「移住支援金」と「地方創生起業支援事業」が支援する「企業支援金」があります。
移住支援金
地域の重要な中小企業などへの就業や、社会的起業をする移住者を対象とします。世帯での移住は最大100万円、単身での移住は最大60万円が交付されます。
交付の条件
交付には、下記のすべての条件を満たす必要があります。
(1)過去10年間で通算5年以上、かつ直近1年以上東京23区内に在住または通勤している
(2)東京圏外(東京、埼玉、千葉、神奈川以外)か、東京圏の条件不利地域の市町村へ移住する
(3)移住先で、下記のいずれかの形で就労・または起業する。
・地域の中小企業などに就職
・テレワークなどで移住前の業務を継続
・地域で社会的起業を行う
「テレワーク移住」も支援!
コロナ禍でテレワークやリモートワークが浸透したことをきっかけに、政府は2021年度から移住支援金の条件を緩和。移住先で転職せず、これまでの仕事をテレワークを続ける人も、最大100万円交付の対象としました。
移住先に5年間住むことが前提!
移住支援金の申請日から5年間、移住先市町村に居住する意思があることが交付の条件です。5年以内で移住先市町村から転出する場合は、支援金の返還を求められることがあるため注意しましょう。
起業支援金
「社会性」「事業性」「必要性」など、地域の課題に取り組む社会的事業を支援します。
起業に必要な経費の2分の1、最大200万円が交付されます。
交付の条件
(1)東京圏外(東京、埼玉、千葉、神奈川以外)の道府県か、東京圏の条件不利地域で社会的事業を起業、事業承継、第二創業する
(2)公募開始日以降、補助事業期間完了日までに個人開業届や法人設立、事業承継、第二創業を行う
(3)起業地の都道府県内に居住しているか、居住予定がある
内閣官房・内閣府総合サイト地方創生「起業支援金・移住支援金」|https://www.chisou.go.jp/sousei/shienkin_index.html
自治体の子育て支援
出産や子育てに関する支援には、大きく分けて子育て資金や学費、医療費の補助などがあります。補助の内容や条件は自治体によって異なるため、各自治体に確認しましょう。
出産祝い金
出産祝いとして現金や商品券などが支給されます。中には子ども1人当たり数十万円の手当がもらえる自治体もあります。
【福島県耶麻郡西会津町】出産祝い金
内容:支給日前に1年以上、町内に住所を有する方に出産祝い金
①出生時に20万円(現金10万円+西会津町共通商品券10万円)
②支給対象児が第3子以降である場合
2歳の誕生日に10万円
小学校入学時に20万円
お問い合わせ:福祉介護課 子育て支援係(0241-45-4332)
通学用品補助
通学用品の購入にあてられる現金や商品券、通学用品の無料配布などがあります。
【茨城県 稲敷市】ピカピカ1年生応援商品券
内容:令和4年度に小学校へ入学する児童がいる家庭に、入学祝いと子育て世帯への経済的な支援のため、学用品の購入などにあてられる商品券を交付。
お問い合わせ:こども支援課稲(029-892-2000)
医療費補助
医療費の自己負担分を補助する制度です。自治体によって、補助できる年齢や条件が異なります。
【北海道 十勝足寄町】乳幼児および児童医療費助成制度
内容:中学生以下のすべての子どもの医療費の自己負担分を北海道と足寄町が全額助成。
お問い合わせ:足寄町役場 住民課住民室保険担当(0156-28-3857)
学費・保育料補助
保育料の免除や奨学金制度、学費の一部負担など、さまざまな補助があります。
【徳島県 美馬市】第3子以降オールフリー宣言事業
内容:第3子以降の教育費などの一部を無料化。
問い合わせ:美馬市 子どもすこやか課(0883-52-5606)
自治体の起業支援・就業支援
主に起業資金やオフィス・店舗の提供、地元企業への就職を支援する制度などがあります。
起業支援
起業資金や開業資金の補助、融資などを行います。女性の起業や特定業種の起業に手厚い支援がある自治体も。
【北海道松前郡福島町】福島町チャレンジスピリット応援事業
内容:町内で事業を開始する方を対象に、施設投資に対して適用。
投資額の合計が50万円以上のものに対し、2分の1以内で助成します。
上限は300万円で、最長3年間助成することが可能。
お問い合わせ:福島町役場 企画課(0139-47-3007)
店舗・オフィス補助
商店街の空き店舗や空き家の事業利用などを推進するため、無償で提供したり、リフォーム代の補助金を給付したりします。
【青森県 八戸市】中心商店街空き店舗・空き床解消事業補助金
内容:中心商店街の特定の区域に新規出店・開業する事業者・大学などに対し、店舗の改装工事費用の一部を補助。
お問い合わせ:まちづくり文化スポーツ部 まちづくり推進課 中心市街地活性化グループ
(0178-43-9426)
就業支援
就職相談や職業紹介などの他に、自治体で就職した方に現金や商品券などを配布する制度があります。
【北海道芦別市】ふるさと就職奨励金交付制度
内容:条件を満たすU・Iターン就職者に3年間で22万円の地域限定商品券を交付。高等学校教員、大学教員または専修学校教員でないこと。
お問い合わせ:経済建設部 商工観光課 商工振興係(0124-27-7376)
通勤・通学費補助
主に、移住した自治体外の地域に通勤・通学する際の交通費を補助します。中には、自動車購入費の助成など、ユニークなものもあります。
【茨城県石岡市】通勤・通学支援事業
内容:通学定期券および特急券を利用して通勤・通学する方を対象に、その購入費の一部を補助。
お問い合わせ:政策企画課(0299-23-1111)
産業従事者への支援
地元の農林水産業や伝統産業に携わる人への研修制度や、経営の支援、住まいの支援などがあります。
【福岡県 うきは市】うきは市新規就農促進事業
内容:45歳未満で条件を満たす方に、定住促進支援や通勤支援など、市独自の「新規就農促進事業」を実施。
お問い合わせ:うきは市役所 農林振興課 農政係(0943-75-4975)
自治体の住居支援
移住先での住居は、賃貸や購入、空き家など、さまざまな選択肢があります。住居支援では、購入費や家賃の補助、空き家のリフォーム代や無料提供などが一般的です。
住宅の購入
家の購入費用の補助のほか、土地の購入を補助してくれる自治体もあります。
【長野県松川村】移住・定住促進補助金
内容:県外や村外から移住する方を対象に、土地及や住宅を購入して移住した場合は100万円、中古住宅などを取得して移住した場合は50万円を補助。
お問い合わせ:噂の田舎へ案内係(0261-62-3111)
賃貸の補助
民間賃貸や市営住宅などの優先案内、家賃の補助などがあります。
【北海道赤平市】民間賃貸住宅家賃助成
内容:市内の民間賃貸住宅に転入する世帯や新婚世帯に、家賃の一部を「まごころ商品券」で助成。月額最大3万円、最長5年間補助。
お問い合わせ:企画課 企画調整係(0125-32-1834)
等
リフォーム補助
空き家や中古物件のリフォーム費用の補助、特定の設備のリフォーム代負担などがあります。
【鳥取県智頭町】住宅リフォーム助成事業補助金
内容:指定の条件を満たす場合の住宅のリフォーム資金を、工事費用の15/100(上限15万円)補助。
お問い合わせ:智頭町役場企画課(0858-75-4112)
空き家
地域の空き家物件の貸し出しや売買情報を提供する「空き家バンク」サービスのほか、空き家バンク経由の物件の家賃や修繕費の補助などがあります。
【高知県香南市】空き家改修事業費等補助金
内容:香南市の空き家バンクに登録されている空き家を利用する場合、耐震化とリフォーム費用を最大185万7千円補助。
お問い合わせ:地域支援課(0887-57-8503)
商工会議所も独自に移住支援
商工会議所とは、各地域の事業経営者が商工業の発展を目的として集まった公益経済団体を指します。商工会議所では、地域に移住して起業する人に向け、独自の支援を行なっていることがあります。
【青森県】あおもり移住起業支援事業費補助金
団体:青森商工会議所
内容:青森県では東京圏から移住し、地域課題を解決する事業を起業する人に、最大200万円の補助金、「あおもり移住起業支援事業費補助金」を給付しています。
お問い合わせ:(公財)21あおもり産業総合支援センター 総合支援課(017-777-4066 )
※掲載した情報はすべて2021年10月上旬のものです。