中込農園

国際交流と農業体験?年間約200人がファームステイする山梨の人気観光農園

年間約200人がファームステイ!山梨の人気観光農園で農業体験だけでなく国際交流まで

農業、果樹栽培には、栽培した生産物を出荷・販売するだけではなく、農園を果物狩りの場にする「観光農園」という形があります。この観光農園で、日本のみならず世界中から人が訪れる人気の農園が、山梨県南アルプス市にある中込農園です。

山梨県やお隣の長野県などは、昔から果樹栽培が盛んな地域ですが、その中でも中込農園の人気は群を抜いており、TV番組や新聞などさまざまなメディアで取り上げられています。

近隣にも多くの観光農園がある中で、なぜ、中込農園にこれほどの人が集まるのでしょうか。他の農園にない独自の体験、そして海外からの訪問に積極的に対応するなど、通常の観光農園とは違った特徴について、代表の中込一正さんにお話をうかがいました。

ウェブサイト運営、SEO対策までする、異色の農家

中込一正さん。桃狩りシーズンの果樹園にて。

中込農園は、山梨県南アルプス市飯野にあります。周囲を富士山、八ヶ岳、南アルプスに囲まれた地域で、天気の良い日にはこれらの山々を見渡すことができます。この自然環境が生み出す気候、そして清浄な水と空気に育まれて、この地域では、昔から果樹栽培が盛んです。

また、南アルプス市だけでも果樹農園は多く、果物狩りのできる観光農園も多くあるわけですが、中込農園はその中でも、果物狩りランキングのサイトの常に上位に位置し、「桃狩り 山梨」などで検索すると、トップに表示されます。

これは、さまざまな条件で中込農園のウェブサイトが上位表示されるように、中込さん自身がSEO対策を行っている成果です。そもそもウェブサイトがある農家自体少ない上に、SEOといったウェブ関連の知識を持って対策をしているというのは、珍しいことでしょう。

さらに、「検索結果に表示されるだけじゃなくて、中身も大事。他の農園との差別化をしないといけない」と中込さんが言う通り、中込農園で体験できる果物狩りには、他の農園にない点が多くあります。

時間個数無制限、他にはない人気の理由

まず、中込農園では、6月初旬のさくらんぼに始まり、桃、プラム、スィートネクタリン、梨、ぶどう、プルーン、そして12月のリンゴと干し柿まで、1年のうち約7ヶ月間という長い期間、さまざまな種類のフルーツ狩りを楽しむことができます。

これだけの果物の種類があるわけですから、耕作面積も約4ヘクタールと、日本の果樹農家の中でもかなり大規模な部類になります。さらに高齢化で農業が続けられなくなった土地を引き受けるなどで、耕作面積はさらに広がっているそうです。

果物狩り受付。取材時、7月半ばは桃がメイン。もう少しすると、ぶどうやスイートネクタリンが
採れるようになります。

広い土地で1年の半分以上、多品種の果物狩りが楽しめるということに加え、中込農園の大きな特徴が、「時間・個数無制限」で果物を食べることができるという点です。つまり、営業時間内に食べられる限りは、何時間でも、何個でも食べて良いという、他の農園ではまずない果物狩りが体験できます。また、1種類の果物だけでなく、複数の果物を組み合わせたコースもあり、こちらも人気です。

樹が育っている最中の農園。広々と土地がずっと広がっています。

さらに、広い土地を管理するための工夫として、中込さんは「薪ストーブ」のブームを活用しています。耕作放棄地を引き受ける際、長い間放棄されてきた土地は、樹木などが覆い繁り農地とするのにも労力と時間がかかります。

そこで、薪ストーブの薪にもなる耕作放棄地に生えている樹を、無料で自由に伐って持って行って良いというふうに募ったところ、あっという間に樹がなくなったそうです。農園にとっては邪魔者の樹でも、別の視点で見れば、高い薪が無料で手に入るという良い機会となったのです。

好きなだけ、とって、食べて!子供たちもとても楽しそうでした。

「ビジネスの成功というのは、常にレアであること。他の人がやって成功していることを真似しても、成功することはない」と中込さんは言います。

栽培する果物の種類にしても人気の果物に頼るのではなく、次に人気が出る果物の情報を収集し、新たな栽培を始めるなどしています。こういった差別化が成功して、中込農園には1日で数百人の人が訪れます。取材に伺った日は7月半ばの平日でしたが、他府県ナンバーの車がどんどん入ってきて、農園ではたくさんの人が果物狩りを楽しんでいました。

桃狩りを楽しむ人たち。すごい人になると、10個、20個と食べる人もいるそうです!

連休ともなると、さらに多くの人が訪れ、問い合わせや予約希望はその2倍、3倍あるそうですが、駐車場に車が入りきれず、モノやスタッフも足りないため、あらかじめブロックをかけるそうです。それでも問い合わせや直接訪れる人が少なくなく、近隣の果物狩りができる農園を紹介するなどしているそうです。

英語対応も完璧、海外からの受け入れと異文化交流

そして、他の農園にはない中込農園のもう一つ大きな特徴が、海外からの訪問客を積極的に受け入れているということです。これは、中込さんがアメリカの大学院を出て、6年程アメリカに住んでいたことがあり、今も大学で英語の講師をするほど、英語ができるということで、実現しています。

海外から訪れた人たち。取材中も中込さんの携帯に英語での問い合わせが何度もありました。

実は、中込農園は英語版のサイトもあり、「Fruit Picking in Japan」や「Fruit Picking Yamanashi」など英語でフルーツ狩りを検索しても、中込農園が検索結果のトップに表示されます。

「日本の果物は海外の果物とは全く違って、大きくて甘い。それは手間暇がかかっているからで、海外の果物栽培は手間をかけても日本の10分の1ぐらいです。そういうことも英語で説明してます」。

これも、他の農家、そして行政ですらなかなかしていないことです。中込さんは、英語は農業に活かせるということを、大学の講義でも言っています。

「ピンと来ていない人もいるけど、インターネットが発達したことで、英語と農業が結びつくようになったんです」。

宿舎も完備、ファームステイの魅力

中込農園では、果物狩りだけではなく、農業体験・ボランティアをしたいという人のファームステイも数多く受け入れています。現在は年間200人程ですが、希望者自体はもっと多く、年間3000人程にもなるそうです。しかし希望者全てを受け入れることはできないため、希望者の話を聞いて、選別した上で、受け入れを行っています。

参加者はみなさん基本的にはボランティアですが、三食と宿泊場所は中込農園の側で手配してもらえます。希望者は様々で、将来的に就業、移住がしたいという人はもちろん、農業系の大学の学生サークルや、ケーキ屋さんをやっていて、自分達が使っているフルーツがどういう風に作られているのか現場を知りたいという希望もあるそうです。

就農希望者の場合は、ただ体験するだけでなく、果樹栽培のノウハウ提供や、農地を探すサポート、農機具の貸し出し、移住者であれば家探しまでサポートしています。

また、海外からのファームステイも多いのは、中込農園の大きな特徴です。取材に伺った時も、カナダ、スペイン、マレーシアから4人がファームステイ中でした。

「外国人を受け入れるというのは、日本人を受け入れるのとは違って、様々なトラブルがあるんです。日本人がトラブルを起こさないわけじゃないけど、生活習慣とか文化が違うから、思ってもみなかったようなトラブルがある」。

宿舎には、英語での説明や注意書きがたくさん。英語の勉強をしている跡も。

中込農園では、ファームステイ用に空き家をリフォームした宿舎を用意しています。農業だけでなく、ここで生活するにあたり、掃除はどうするかというような生活上のルールを、中込さんが一から教えています。

「大変ですが、それでもやるのは、過去にアメリカに留学していた頃と比べても、今ほど深く世界の人達と交流して、世界を知ることはなかったからです」。

今は世界を旅行する人も多いですが、その中で、各地の人の普段の生活や考え方を知るという体験はまずできません。留学でも、交流するコミュニティは限られているでしょう。それが、ファームステイの中で、生活を共にすることによって可能になります。ファームステイをする他の日本人も、そうやって世界の人達と交流できることが、大きな魅力となっています。

ファームステイの宿舎を見せてもらうと、とてもしっかりとした一軒家でした。家の外には桐の樹が植わっており、木陰を作っています。木陰の下にはテラスもあり、快適に過ごせるように中込さんがさまざまに工夫しています。ここには、相部屋のベッドルームが6部屋あり、人が多いときにはリビングも寝室として、最大15~16人の受け入れが可能です。

宿舎の外にあるテラス。夏はここで涼みながらくつろげます。

バーベキューができるスペース。上にある黒い布は「寒冷紗(かんれいしゃ)」と呼ばれる暑さ除けのシート。下はかなり涼しくなります。

1階にあるベッドルーム。綺麗な室内です。

2階の和室。海外の方に人気があるそうです。

リビングと、奥が布団部屋になっています。人数が多いときはこの部屋もベッドルームに。

調理ができるスペースもあります。

学生サークルなどグループの場合は、宿舎の離れにある部屋で食事を摂ったりします。

ファームステイ中は、ハイシーズンとローシーズンによって違いますが、お昼休憩をはさんで8:30~17:00の仕事となります。休日はケースバイケースですが、例えば海外からのファームステイだと週2日を休みにして、その日はまず掃除をしてもらい、後は自由という風にしたそうです。

猫がいました。残念ながら警戒されて近づけませんでしたが、しばらくいたら慣れてくれるかな……

滞在期間は特に決まっていないので、その時の宿舎の空きと、農園の状況により、相談次第となります。農園は春~夏にかけて一番忙しく、秋冬は少し落ち着きます。

新規就農者の支援も、農業を続けられる人とは中込農園ではただの農業体験でなく、海外から訪れる人も多く、国際交流ができるというのも、他にはない体験です。

また、新規就農を目指す人にとっては、食事や宿泊の心配がないことに加え、将来的なところで、果樹栽培のノウハウの提供や、農機具、農地や家探しのサポートもしてもらえるというのは、心強いところでしょう。こいういったところが、新規就農において最初にネックになるところです。

そういったサポートを受け、実際に、中込農園でのファームステイを経て、正式に移住、就農した人も何組もいるそうです。飯野でも、農家の高齢化、過疎化は問題となっており、農業をやりたいという若い人がいれば、受け入れたいというニーズがあります。

農園体験・ボランティアの様子。季節ごとの作業があります。

「たとえば、飯野は10の区に分かれていて、ここは4区で、50戸程の家があります。数十年前まではこの50戸がほぼすべて農家でしたが、今、専業で農業をやっているのは2軒なんです。ここだけの話じゃなくて、日本全体がそういう状況なんです。私たちの子供、孫世代になれば、飯野全体で農家が数軒という状況になるでしょう」。

新規就農に関して、最近は行政の支援などもありますが、それも2~3年のことで、5年、10年、20年と続けるのは難しいという現実があります。そもそも、土地がなく、知識や技術がなく、機材もない。新規就農にはさまざまなハードルがあります。そこを、中込さんはサポートしています。

まずは体験した上で、本当に農業をやりたいという人をサポートしたいと中込さん。

「土地を探すにしても、地元の人からしたら県外から来た知らない人に貸すのは嫌ですよね。そこで我々が、この人は真面目な人だし、一生懸命にやっているから貸してやってくれと間に入れば、信用しようかとなります。我々は手伝いに来てもらって助かるし、逆に我々はそうやって彼らをサポートするわけです」。

今、「自給自足」「田舎暮らし」といったブームもあり、農業をやりたい人、移住を希望する人というのは、増えてはいます。ただ、すぐに実行できるかというと、今の生活もあり、仕事もあり、難しいのが現実です。そもそも中込さんは、農業を推奨しているわけではなく、むしろいったん止めることが多いそうです。

「世間一般で言う安定的な生活、高い地位にいる人、たとえば医者や国家公務員で希望する人が就農を希望することも、意外と多いんですね。特に20代後半から30代がそういう時期なのか、多いですね。ただ、ないものねだりというところもあって、都会にいれば都会の嫌なところが見えるけど、田舎には田舎の大変さがあります。今の仕事を辞めるのは簡単だけど、まずは週末に農業体験をするとか、何か気分を変えられることを勧めています。それでほとんどの人は落ち着くし、それでも乗り越えて農業をやりたいと来るような人もいて、そういう人は支援しています」。

中込農園は山梨県内でも少ないある大規模な農家であり、それを見て憧れる人もいるそうですが、新規就農で最初からうまくいくわけではありません。そういった意味でも、まずリスクなく気軽に現場を知ることができるのが、農業体験の良さだと思います。

「新規就農を考えている方はまずは来て、見て、体験してみてください」と中込さんも言います。

農業に興味がある、普段扱っている果物がどうやってできているか知りたい、あるいは異文化交流をしたい、英語を学びたいそういったさまざまな動機の人が中込農園にやってきており、その中で農業だけでないさまざまな視点を学びながら、農業の知識、技術に触れることができるのが、中込農園の魅力だと感じます。

最後に、余談ですが、取材の後に採れたての桃を頂いたのですが、これがこれまで食べたことがないくらい、瑞々しくておいしい!生産地でしか味わえない、新鮮な硬さのある桃でした。皮ごと食べられたぐらいです。こういう体験ができるのも、現地ならではですね。

とれたての桃は、10個、20個食べられる気持ちが分かるくらい、おいしいです。

応募に関して

募集内容

組織名

中込農園

募集職種

農作業のお手伝い

業務内容

農作物の生産・観光に関する作業

雇用形態

ボランティア(3食宿泊付き)

勤務地

山梨県南アルプス市飯野2281−1

給与

基本的にはないが、応相談

勤務時間

8:30-17:00(季節により変動)

休日

応相談

応募条件

農業に興味がある方、国際交流に興味がある方

宿泊場所

専用の寮あり

宿泊費用

無料

期間

特に指定なし

交通費

自己負担

選考方法

申し込み

メールでのやりとり

採用

その他

山梨県内での新規就農の支援あり

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