縁のない土地で突破口になったのは人との出会い株式会社しろくまデザイン研究室

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馬場知子さんは、15年前、それまで縁がなかった郡山市でデザインの仕事をはじめました。軌道に乗るまでは時間がかかったと言います。その突破口になったのは、人との出会いでした。今は事業を成長させ昨年法人化した馬場さんに、仕事で大切にしているもの、そして、どのような人たちと一緒に仕事をしたいと思っているかについてうかがいました。

お客様のニーズを把握するトータルデザイン

馬場知子さんはホームページ制作をメインに、企業のブランディングに関わるトータルデザインを手掛けています。
クライアントの要望に応え、WEB制作から名刺、店舗、看板や商品パッケージロゴやキャラクターデザインまで多岐にわたるデザインに関わることが多い馬場さん。「お客様にどう活用してもらえるかを常に考えながら仕事をしています。お客様に作品を渡して活用してもらわないと意味がないので、そのあともできるだけ長く携わっていたきたい」と話します。

時にはタブレットでの業務管理システム制作や、ネットワークサーバーの構築の依頼も受けるそうです。
「お客様からどういうニーズがあるのか、本当に必要なものは何かを理解したうえで、それに合わせた提案をしています」。お客様の仕事が円滑にできるところまで見るのが馬場さんの仕事。IllustratorやPhotoshopでデザインする以外の仕事にはエンジニアやプログラマ、フォトグラファー、コピーライターたちとの協力が不可欠だと馬場さんは言います。
郡山中心に首都圏にも外注先があり、クライアントは、福島市、相馬市を中心とした県内全域から、宮城、青森、埼玉、名古屋、大阪、愛媛まで。一度仕事をしたお客様からの紹介から全国規模まで広がってきました。「仕事は地域という括りではなく、人だと思います。デザインは相手にとって何が喜ばれるか、楽しんでもらえるかを突き詰めていく仕事ですが、どんな仕事でも同じかもしれません」

知り合いもない、縁もなかった郡山で開業を考えた

縁もゆかりもなく、知り合いもいなかった郡山市に来たのは15年前。前の夫の仕事の関係でした。24歳のときに結婚することになり、郡山で就職先を探しましたが、面接官から「結婚してすぐだし、どうせ子供つくってすぐに辞めるんでしょ」と言われ、すごく悔しかったと当時を振り返ります。「いつか自分が社長になって、仕事が対等にできるようになり、人を雇えるようになりたい」と心に秘めた馬場さん。アルバイトしながらデザインを独学し、結婚半年後の2002年7月に起業します。

デザイナーになったきっかけは、獣医学部に進学していた学生時代。在学中に父が亡くなり、母の生活を支えるためにも仕事に就かなければと、卒業まで1年を残して馬場さんは退学を決意します。親身になって話を聞いてくれた教授から獣医放射線学教育研究会のロゴマークの依頼をされたことがデザインの仕事のはじまりでした。
「その時はまだデザインソフトの使い方を知らなかったので、手描きです。スキャンして何とかデータ化して納めました。今は餞別として背中を押してくれたのだと思っています」。

「はじめは四苦八苦、売り上げも鳴かず飛ばずだった」と開業当時を振り返りる馬場さんですが、間もなく経営者の会合で出会った相馬市の経営者の好意で、ホームページを作る仕事を紹介してもらいます。「そこから、今につながっています。私は一度お仕事をした方とはおつきあいが長いのですが、ずっと紹介で仕事をいただき、一度も営業していません。福島は本当に人があたたかいと思います」。

震災後、故郷の友人から戻ってくるように誘われましたが、「私を育ててくれた福島という気持ちが強くて、そんなに簡単に福島を去ることはできませんでした」と言います。

地元の人たちと積極的に関わることが第一歩

馬場さんは開業を決めてから、郡山市役所に出向き、起業セミナーの案内や、創業支援の資料を手当たり次第集めました。市で開催していた無料の起業家セミナーにも積極的に参加します。「資金繰りについて学べたことは大きかったと思います。私と同じような何もわからないけど起業したいと思う参加者がいて、自分も何とかなるのではと思えたんです」。

馬場さんが最初に仕事を紹介してくれた経営者に会ったのは、中小企業家同友会。経営や指針を学ぶ全国組織で県内では2000を超える企業経営者が参加しています。積極的に地元の人たちと関わろうと行動していたなかでの出会いでした。

ネット社会の今、若い世代のなかには、地方で暮らしても、地域のコミュニティに入らず仕事をしたいという人もいます。しかし、馬場さんは「大切なのは、本人のモチベーション。経営者やオーナーさんであるお客様たちの会ってどういう想いで仕事をされているかに触れること。そこから一緒に仕事ができる関係になれば、その先もつながれると思うんです」と、人との出会いの大切さを感じています。

郡山は起業家同士の交流が盛んなことも魅力

コワーキングスペースが3カ所ある郡山市では、起業家が交流する場があり、イベントも多数開催されています。
「以前はあまりそういう機会がありませんでした。co-ba koriyamaで行われている『スペシャリスト女子会』では同年代の人と知り合うことが嬉しかった」と言う馬場さん。

「一人で仕事をしているとガムシャラになって、いつの間にか視野が狭くなってしまいます。私も一時期はピンチになったことがありました。乗り越えることができて、幅広い人たちとの交流のなかで改めて人に恵まれていることに気づいたんです」。

「コワーキングスペースで出会う人たちはそれぞれの分野で能力を持っています。プロジェクトの内容に応じて協力をお願いできるのが魅力。今は色々な人との関わりが楽しい」と馬場さんは言います。
「これからは人を巻き込んで楽しいことをやりたい。デザインの力で人が集まる場所を作りたいんです。福島の人は熱い想いがあっても、うまく言葉や形にできない、どこに向けていいのか戸惑っているところがあると思うんです」。

地域活性化や地元商店街の賑わいのためにも情報発信のお手伝いをしたいと馬場さんは考えます。「いろいろな人が集まって、優しい気持ちでワクワクするものを創りたい。みんなで丸くなればいいんです」。

郡山で起業をする人、こういう人が欲しい

会社での正規雇用も視野に入れている馬場さんは今、SE、プログラマ、WEBコーディングができる人だけでなく、同業者のデザイナーも歓迎しています。

「個人で仕事をしている方は多くない気がします。だからそういう方たちと仕事を紹介しあって、みんなでいいものを作っていきたい。仲間全体で業界を高めていく、そういう環境を作りたいですね」
求められるのは、技術ではなく、提案力や臨機応変な対応力だと言います。

「この仕事にセオリーはないと思うんです。ネットがつながらないというお客様の悩みには、自分はデザイナーなのでここまでしかできません、ではなく、解決しようという姿勢が大事。一人でできないなら、協力してくれる人に頼めばいいんです」

もちろん、納期を守るのは最低限のことですが、目の前の課題に真剣に向き合うことも大切です。

「これからは、楽しんでできる人が求められると思います。納期に納めるためだけに泣きながらやってもいいものは作れません。楽しめる人なら、相手の求めているものを上回ることができる。そういう熱量は相手に必ず伝わりますから、一緒に仕事していても楽しいんです」。

応募に関して

募集内容

組織名

株式会社しろくまデザイン研究所

募集職種

デザイナー・エンジニア

業務内容

デザインやWEBサイトの制作

雇用形態

正社員 / フリーランス

勤務地

福島県郡山市/須賀川市

今回の募集は終了いたしました。次の機会をお待ちください。